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2010/08/07
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Blue作「"みどり"の日々」
marhollo作「恋の行方」
りきお作「女王猫の密かな恋のうた」
Rodmate作「VIEW」

半分の尻が昇る虚空

作:Neluo(The Sleeper)   絵:羽鳥しーの(放課後ふぁんたじあ)

この世界は繰り返されている

 僕がそのことに気がついたのは、幾度となくループを繰り返した末――それは気が遠くなるほどの、気が狂うほどの歳月の末、けれど一瞬であり、また無限でもあった、時間という枠組みを超えたその先、ありえた未来とあったはずの過去とあり続ける現在とが交差するスクランブル地点での偶発的な出来事、縞々模様と苺柄と無地の桃色とが渾然一体となって部室の扉を開けた僕の視界を覆い尽くし――あるいはそれは主観的にはデジャ・ヴュと呼ぶ類のものであったのかもしれない。とにもかくにも、小毬さんのパンチラが僕を覚醒させるに至ったことには間違いがなかった。
「これが、世界の真実か……」
 悲鳴を上げる小毬さんを尻目に、僕は部室の扉を閉めると、綿飴のように周囲の雲を巻き込んで肥大化していく一つの雲を眺め、嘯いた。

***

 十回分のルートを潰して僕が至った結論は、どうやらパンチライベントの際に選ばれるぱんつの柄は、その数日前に差し入れられたドーナツの種類と無関係ではないらしい、という非常にシュールなものだ。ドーナツとぱんつとの関係性を理解することは僕の脳では到底不可能ではあった、しかし幾度にも及ぶ試行錯誤の末にどうやら正しいらしい≠ニ推断されるに至ったのだ。それから何よりもまず初めに僕が確かめたことは、もちろん言うまでも無くドーナツを食べない≠ニいう選択肢――残念ながらノーパンには至らず、パンチライベントそのものが抹消されてしまったけれど。
「ここが、世界の限界か……」
 世界の臨界点を目前にして、僕は思わず跪いて拳を地面に叩きつけると、涙を飲んで部室を後にした。

***

 五月二十日、日曜日。
 この日の小毬さんは街で募金活動のボランティアに勤しんでいる。そこへ気晴らしに出かけた僕や恭介たちが偶然通りかかって話をする、ということになっていた。
 小毬さんはボランティア活動のお礼として、お裾分けでドーナツをもらい、僕らへのお礼という形で僕の部屋へ訪れ、皆でドーナツを食べるのだ。
 ドーナツは全部で三種類。ベーシック、ストロベリー、チョコストライプ。ベーシックは桃色を、ストロベリーは苺柄を、チョコストライプは横縞模様の奇跡をそれぞれ呼び起こす。これがパンチライベントの大筋の流れだ。
 これはもちろんたとえばの話なんだけど――この過程を一部変更することで、新たなパターンを生み出すことはできないだろうか。
 たとえば……募金活動の手伝いを申し出たとする。そうすると必然、僕もまたお裾分けでドーナツをもらえることになるわけだ。数は増えないかもしれないけど、種類を変えることはできるかもしれない。
 ――試してみる価値は、ある……っ

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