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2010/08/07
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Blue作「"みどり"の日々」
marhollo作「恋の行方」
りきお作「女王猫の密かな恋のうた」
Rodmate作「VIEW」

女王猫の密かな恋のうた

作:りきお(りきお(ふく彦)のページ)   絵:ふゆいち(Pendola)

 放課後。学校のグラウンドで二匹の子猫が言い争っていた。
「直枝さん。私がエースでよろしくて?」
「何いってんだ、ドロボウネコっ。理樹と一緒にやるのはあたしのほうだっ」
 いつものように口喧嘩が始まる。
 その光景はリトルバスターズ名物と化していて、既に、無理に止めようとする者はいなくなっていた。
「よし、じゃあこうしよう。バッター三人相手にどっちが抑えられるかでしょーぶだ!」
「上等ですわ。受けて立ちますことよ」
 鈴が振りかぶって――。
「理樹の、にょーぼーは、あたしんだーーーーーっ」
 すぱあぁんっ。
 彼女の投げたボールは、躍動感溢れるフォームから解き放たれ、目にも留まらぬスピードで理樹の構えるミットへと吸い込まれた。捕った彼も、自ら捕りに行ったと言うよりは捕っていたという感じで、信じられないという表情で固まっていた。
「何なんだよ……いつもより全然はええじゃねーか……」
 呆然と立ち尽くす大男。……もといウドの大木。
 でかい図体は、繰り出されたボールに対してピクリとも反応しなかった。まさにただ立っているだけであった。
「わたくしだって……。わたくしだって、負けませんわーーっ」
 みなぎる対抗心。昂ぶる気持ち。
 こんな気持ち、ソフトボールのインターハイでも味わったことが無い。
 彼女の真の本気が明かされる。
「行きますわよぉぉっ」
 サイドスローから変速気味に繰り出されたボールは、大男の胸元を抉る。
「あっぶねえなあ。どこ投げてやがる!」
 しかし……。
「ストライクだ、真人」
「へ? 何だって……」
 理樹の構えたグラブは、ベースの延長線上、ほぼ中心の位置にあった。
 グラブが動いたのではない。ボールがものすごい変化をして、それが胸元を抉った後に真ん中に構えたグラブへと吸い込まれていったのだ。
「う、打てるかぁぁーっ」

***

――結果、引き分け。
 両者ともに素晴らしいピッチングを披露して、三者凡退だった。
「凄いチームになったもんだな……」
 片や豪速球の本格派。
 片や変則気味の技巧派。
 甲乙つけ難い両エース候補である。
 ただし……。
「あたしのほうがスピードが出てたのは明らかだ。とっとと負けを認めろっ」
「なんですって……? 直枝さんの構えたところにほとんど行かないあなたに言われたくありませんわ!」
「何ぃぃっ……」
「今日という今日は譲りませんわ……」
 互いに譲らず、いつもにっちもさっちも行かなくなってしまうのだった。
 しかしこの日は違った。
「毎回毎回ケンカばかりしやがって……。
 よしわかった。お前ら明日から合宿だ」

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